AUC版PBWをやってみよう企画のリプレイバックナンバーや、AUC関係の管理人のSSを保管している場所です。
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小娘ばっかりの集団。
特に小柄な娘っこは怯えて震えまくっている。
だから今回の仕事はあのいけ好かねぇ美形護衛をヤっちまえばそれで終了だと思っていた。
荷台に隠した日本刀『鈴猫』を掴んだマナが飛び出すまでは――
集団の中で誰よりも早く動いたのは、略奪団の予想を裏切って最も非力そうなマナだった。
「ご、ごめんなさいっ」
スピードに長けたマナが馬車の前に飛び出した瞬間、小さな謝罪の言葉が耳に届く頃には一番前に出ていた剣使いの下っ端が血しぶきを上げて崩れ落ちていた。
「な、なんだァ!?」
「演技だったって事だよー」
「だよー」
驚きの声を上げるお頭にからかいを含んだ声を浴びせ、フェンさんは戦力の薄い後方へ走り出した。
自分が居た馬車右側方面に立っていた弓使いを素早く撃ち抜き、そのままの勢いで右手の林へ走り込む。
馬を狙えば逃げられない位に考えていた弓使いは対応する暇もなく、弓を取り落としてうずくまった。
まんまと嵌められた事に気付いたお頭の顔色が変わる。
「シー!!」
頼りの二刀剣士は我関せずとクーフーリンに斬りかかった。二発入れば倒れない者は居ない……それは今までの仕事における絶大な自信だったのだが。
大振りの槍を斜めに構えて剣戟を受けた鎧の男は、確実に二発受けた上で尚倒れなかった。
いつものように距離を開けようと重心を傾けた瞬間、行く手に槍が突き立った。一撃離脱の戦法を封じられた二刀剣士は、無言で鎧と槍を見つめた。
予想外の状況に泡を食いながらも戦況を見据え、お頭が手早く指示を出す。
頼みの懐刀でも倒せないタフな鎧より、まず自分側に接近してきた凄腕の小娘を潰せ。
指示に従い、馬車の前後から弓使いがマナ目がけて矢を射掛け、後ろから回り込んできた剣士が斬りつけたが、マナはそれら全てを宙を舞うような動きで回避してしまった。
指示をしくじった。冷や汗を流すお頭の視界に鮮やかなオレンジが映りこんだ。
馬車前方側の弓使いに飛びかかったダンデリオンである。
「全ての力の源よ 優しき流れ たゆとう水よ 我が手に集いて力となれ!」
ドレスを翻してチンピラに腕を突き出したダンデリオンの指輪と瞳から、冷気の魔力が迸る。
右半身に凍傷を起こして蹲る手下。
「魔法使いまでいやがったのかァ!」
ダミ声で吼えたお頭は、大斧を振り上げダンデリオンへ斬りかかった。
自分の側へ攻め込んでいるのは避けまくる小娘と魔法使いの小娘。なら、考えるまでもなく狙うのは後者である。
「テメェが人質になりゃァ、形勢逆転なんだよォ!!」
無骨な大斧が風を切って横殴りに襲いかかった。
「っ!!」
「ダンデリオンさんっ!!」
マナの悲鳴がまばらな林に響き渡る。
タフで豪腕。
そう聞いていたのだ。
自由にさせておけば弱いところを攻められるのは、遠征でも思い知っていた筈だった……のに。
愉悦に歪むお頭の顔が、ダンデリオンの意識から遠のいていった。
小娘ばっかりの集団。
特に小柄な娘っこは怯えて震えまくっている。
だから今回の仕事はあのいけ好かねぇ美形護衛をヤっちまえばそれで終了だと思っていた。
荷台に隠した日本刀『鈴猫』を掴んだマナが飛び出すまでは――
集団の中で誰よりも早く動いたのは、略奪団の予想を裏切って最も非力そうなマナだった。
「ご、ごめんなさいっ」
スピードに長けたマナが馬車の前に飛び出した瞬間、小さな謝罪の言葉が耳に届く頃には一番前に出ていた剣使いの下っ端が血しぶきを上げて崩れ落ちていた。
「な、なんだァ!?」
「演技だったって事だよー」
「だよー」
驚きの声を上げるお頭にからかいを含んだ声を浴びせ、フェンさんは戦力の薄い後方へ走り出した。
自分が居た馬車右側方面に立っていた弓使いを素早く撃ち抜き、そのままの勢いで右手の林へ走り込む。
馬を狙えば逃げられない位に考えていた弓使いは対応する暇もなく、弓を取り落としてうずくまった。
まんまと嵌められた事に気付いたお頭の顔色が変わる。
「シー!!」
頼りの二刀剣士は我関せずとクーフーリンに斬りかかった。二発入れば倒れない者は居ない……それは今までの仕事における絶大な自信だったのだが。
大振りの槍を斜めに構えて剣戟を受けた鎧の男は、確実に二発受けた上で尚倒れなかった。
いつものように距離を開けようと重心を傾けた瞬間、行く手に槍が突き立った。一撃離脱の戦法を封じられた二刀剣士は、無言で鎧と槍を見つめた。
予想外の状況に泡を食いながらも戦況を見据え、お頭が手早く指示を出す。
頼みの懐刀でも倒せないタフな鎧より、まず自分側に接近してきた凄腕の小娘を潰せ。
指示に従い、馬車の前後から弓使いがマナ目がけて矢を射掛け、後ろから回り込んできた剣士が斬りつけたが、マナはそれら全てを宙を舞うような動きで回避してしまった。
指示をしくじった。冷や汗を流すお頭の視界に鮮やかなオレンジが映りこんだ。
馬車前方側の弓使いに飛びかかったダンデリオンである。
「全ての力の源よ 優しき流れ たゆとう水よ 我が手に集いて力となれ!」
ドレスを翻してチンピラに腕を突き出したダンデリオンの指輪と瞳から、冷気の魔力が迸る。
右半身に凍傷を起こして蹲る手下。
「魔法使いまでいやがったのかァ!」
ダミ声で吼えたお頭は、大斧を振り上げダンデリオンへ斬りかかった。
自分の側へ攻め込んでいるのは避けまくる小娘と魔法使いの小娘。なら、考えるまでもなく狙うのは後者である。
「テメェが人質になりゃァ、形勢逆転なんだよォ!!」
無骨な大斧が風を切って横殴りに襲いかかった。
「っ!!」
「ダンデリオンさんっ!!」
マナの悲鳴がまばらな林に響き渡る。
タフで豪腕。
そう聞いていたのだ。
自由にさせておけば弱いところを攻められるのは、遠征でも思い知っていた筈だった……のに。
愉悦に歪むお頭の顔が、ダンデリオンの意識から遠のいていった。
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