AUC版PBWをやってみよう企画のリプレイバックナンバーや、AUC関係の管理人のSSを保管している場所です。
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◇
戦場に緊張が走り抜ける。
慌ててダンデリオンに駆けつけようと踵を返したマナの目に、オレンジに翳された無骨な大斧が飛び込んだ。
「オトモダチの命が惜しかったら、動くんじゃねぇぞ。アァ!?」
牽制するようにマナとクーフーリンへ順繰りに視線を向け、勝ち誇った笑みを浮かべる。
その時。
「正義の勇者に敗北はない!」
突然聞こえた女の声に虚を突かれ、慌ててそちらへ振り返った。
荷台の上に変なポーズを決める眼鏡の小娘が立っていた。
うかつだった。先に飛びかかってきた女共が強すぎてすっかり人数勘定を忘れていた。
もう一人、どさくさに紛れて荷台の中に隠れていやがったのだ。
しかも、最悪なことにその女は人質を全く気にしていない風だった。
「イカレた小娘よぉく見やがれ! こっちには人質が……」
「英霊召還、サマリカーーーーム!」
お頭とイカレた小娘こと、みこの声が見事にハモった。
次の瞬間、“荷台の上で”ダンデリオンが身を起こした。
お頭が足元を見ると、あの鮮やかなオレンジは跡形もなく消え失せていた。
「き……奇跡使いまで居やがったのかァ…………!?」
暗くなる視界の端に、荷台の二人の元へ駆けつける護衛の姿と風のように駆けてくるマナの姿が映り込んだ。
「お、お友達をいじめる人は許せませんっ」
半泣きの表情を浮かべたマナが懐を走り抜け馬車の方へ向かう背後で、巨体が血しぶきを上げて倒れ込んだ。
「ひ、ヒィ!」
「逃――」
弓使いは情けない台詞すら最後まで言い切れずに、足を撃ち抜かれて倒れ込んだ。
林の中を回り込んできたフェンさんが通りがかりに撃ち抜いたのだ。
残る二刀剣士と逃げ腰の剣使いの間合いから離れた荷馬車後方まで駆け抜けて、戦況を伺うフェンさん。
「逃げられるかなー?」
「無理だよねー」
さっきの緊張どこいったみたいなお気楽ぶりである。
剣使いの下っ端がアジト側へ踵を返す中、二刀剣士は表情も変えずに荷台に飛び乗りダンデリオンに斬りつけた。当然のようにクーフーリンが割って入る。
二本の剣を甘んじて受けたクーフーリンは、鎧の一部を破損しつつも尚無表情に立っていた。そして再び離脱を封じる槍の穂先。
無言無表情の二刀剣士の唇に、うっすらと笑みが浮かぶ。
その胸元に容赦なく二対の指輪が突きつけられた。
「我は放つ、氷の飛礫ッ!」
一撃ならあるいは耐えられたのかもしれない。しかし、護衛の脇から飛び出してきた少女もまた、自分と同じ二刀流の使い手だったのだ。
二刀剣士は、無駄に拘り抜いた勝負の決着を見ぬまま、冷気の渦に呑まれて意識を手放した。
「一人逃げちゃったね~。追いかける?」
「ボクも連れて行って下さい!」
のほほんとした口調で仲間が集まる馬車脇に戻ってきたフェンさんに、ダンデリオンが真剣な顔で頼み込む。
フェンさんはまあいっかとダンデリオンを後ろに乗せ、逃げ出した下っ端の後を追って走り出した。負傷しているダンデリオンを気遣ってマナも後を追いかける。
ひとり残ったみこは周囲の惨状を見回すと、とりあえず勝利のポーズ(自己流)を決めてから荷台に積んでおいた縄を取り出した。
最後の一人は抜き身の剣を持ったまま、アジト方面に走っていた。
一番強いお頭が殺された(ように彼には見えた)以上、もはやどこにも逃げ場などないのだが恐怖に追い立てられるように必死に走った。
その横を、軽やかに茶色い物体が駆け抜ける。
「やっほー」
「やっほー」
「逃がさないよ!」
あっという間に前を塞がれあわあわと狼狽える下っ端の首筋に、冷たい金属の感触が添えられた。しかもその鋭利な金属ったらカタカタと震えていた。
「こ、降参して下さい……。大人しくしてくれたら何もしませんから…………」
「お、おおおおおお頭もみんなも死ヒッ」
「死んでませんっ。お頭さんも肩を切りつけただけです。その、血は沢山出ましたけど……手当てすれば大丈夫です……」
脅しながら怯えるマナの揺れる刀を首筋に添えられて、もはや話もろくに理解出来なかった下っ端だったが、最終的に説得の末降参……という結果に落ち着いた。
降参した途端に脅し役のマナがへたり込んでしまうハプニングはあったが、遠征先で慣れていた残り二人は落ち着いて男に銃と指輪を突きつけた。
戦場に緊張が走り抜ける。
慌ててダンデリオンに駆けつけようと踵を返したマナの目に、オレンジに翳された無骨な大斧が飛び込んだ。
「オトモダチの命が惜しかったら、動くんじゃねぇぞ。アァ!?」
牽制するようにマナとクーフーリンへ順繰りに視線を向け、勝ち誇った笑みを浮かべる。
その時。
「正義の勇者に敗北はない!」
突然聞こえた女の声に虚を突かれ、慌ててそちらへ振り返った。
荷台の上に変なポーズを決める眼鏡の小娘が立っていた。
うかつだった。先に飛びかかってきた女共が強すぎてすっかり人数勘定を忘れていた。
もう一人、どさくさに紛れて荷台の中に隠れていやがったのだ。
しかも、最悪なことにその女は人質を全く気にしていない風だった。
「イカレた小娘よぉく見やがれ! こっちには人質が……」
「英霊召還、サマリカーーーーム!」
お頭とイカレた小娘こと、みこの声が見事にハモった。
次の瞬間、“荷台の上で”ダンデリオンが身を起こした。
お頭が足元を見ると、あの鮮やかなオレンジは跡形もなく消え失せていた。
「き……奇跡使いまで居やがったのかァ…………!?」
暗くなる視界の端に、荷台の二人の元へ駆けつける護衛の姿と風のように駆けてくるマナの姿が映り込んだ。
「お、お友達をいじめる人は許せませんっ」
半泣きの表情を浮かべたマナが懐を走り抜け馬車の方へ向かう背後で、巨体が血しぶきを上げて倒れ込んだ。
「ひ、ヒィ!」
「逃――」
弓使いは情けない台詞すら最後まで言い切れずに、足を撃ち抜かれて倒れ込んだ。
林の中を回り込んできたフェンさんが通りがかりに撃ち抜いたのだ。
残る二刀剣士と逃げ腰の剣使いの間合いから離れた荷馬車後方まで駆け抜けて、戦況を伺うフェンさん。
「逃げられるかなー?」
「無理だよねー」
さっきの緊張どこいったみたいなお気楽ぶりである。
剣使いの下っ端がアジト側へ踵を返す中、二刀剣士は表情も変えずに荷台に飛び乗りダンデリオンに斬りつけた。当然のようにクーフーリンが割って入る。
二本の剣を甘んじて受けたクーフーリンは、鎧の一部を破損しつつも尚無表情に立っていた。そして再び離脱を封じる槍の穂先。
無言無表情の二刀剣士の唇に、うっすらと笑みが浮かぶ。
その胸元に容赦なく二対の指輪が突きつけられた。
「我は放つ、氷の飛礫ッ!」
一撃ならあるいは耐えられたのかもしれない。しかし、護衛の脇から飛び出してきた少女もまた、自分と同じ二刀流の使い手だったのだ。
二刀剣士は、無駄に拘り抜いた勝負の決着を見ぬまま、冷気の渦に呑まれて意識を手放した。
「一人逃げちゃったね~。追いかける?」
「ボクも連れて行って下さい!」
のほほんとした口調で仲間が集まる馬車脇に戻ってきたフェンさんに、ダンデリオンが真剣な顔で頼み込む。
フェンさんはまあいっかとダンデリオンを後ろに乗せ、逃げ出した下っ端の後を追って走り出した。負傷しているダンデリオンを気遣ってマナも後を追いかける。
ひとり残ったみこは周囲の惨状を見回すと、とりあえず勝利のポーズ(自己流)を決めてから荷台に積んでおいた縄を取り出した。
最後の一人は抜き身の剣を持ったまま、アジト方面に走っていた。
一番強いお頭が殺された(ように彼には見えた)以上、もはやどこにも逃げ場などないのだが恐怖に追い立てられるように必死に走った。
その横を、軽やかに茶色い物体が駆け抜ける。
「やっほー」
「やっほー」
「逃がさないよ!」
あっという間に前を塞がれあわあわと狼狽える下っ端の首筋に、冷たい金属の感触が添えられた。しかもその鋭利な金属ったらカタカタと震えていた。
「こ、降参して下さい……。大人しくしてくれたら何もしませんから…………」
「お、おおおおおお頭もみんなも死ヒッ」
「死んでませんっ。お頭さんも肩を切りつけただけです。その、血は沢山出ましたけど……手当てすれば大丈夫です……」
脅しながら怯えるマナの揺れる刀を首筋に添えられて、もはや話もろくに理解出来なかった下っ端だったが、最終的に説得の末降参……という結果に落ち着いた。
降参した途端に脅し役のマナがへたり込んでしまうハプニングはあったが、遠征先で慣れていた残り二人は落ち着いて男に銃と指輪を突きつけた。
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